ルミエール〜ベーシックインカム隔離施設【12】
「あ、こんにちは、いらっしゃいませ」 池辺が店に出て働き始めたようだ。 池辺が働き始めた店の客は普段池辺が出ていた番組を観ない人ばかりで、池辺は芸能人だと全く気づかれていないようだった。 それにユニフォームを着て、雰囲気…
「あ、こんにちは、いらっしゃいませ」 池辺が店に出て働き始めたようだ。 池辺が働き始めた店の客は普段池辺が出ていた番組を観ない人ばかりで、池辺は芸能人だと全く気づかれていないようだった。 それにユニフォームを着て、雰囲気…
池辺は少し、その場で誰かが出てくるのを待っていた。 しかし現実はドラマのようには行かなかった。 いくら経っても池辺が待つ人は出てこなかった。 池辺は再び歩き始めた。 その後、何日も池辺はネットカフェにいた。 何をするでも…
今岡は光を自分の部屋へ連れて行った。 「お前はなんでここに来たんだ?」 今岡は黒いフードを被り、顔にはマスクをしていた。 顔は目以外が隠され表情が汲み取れない。 光は今岡を見て強い恐怖心を感じた。 「僕はその」 「はっき…
”大丈夫ですよ。心配しないでください。とてもうまくやれています。” 池辺は高橋にそう打って送信した。 池辺はパソコンでアルバイトのページを閲覧していた。 画面を見る池辺は辛辣な表情をしている。 池辺からの返信を見た高橋は…
池辺がマスコミの前で正直に状況話したことで、騒ぎが沈静化されたように見えたが、依然ルミエールへの注目は高まっていた。 さらに池辺見たさに連日多くのファンが入居を希望する事態になってしまった。 「ちょっと、困ります。順番に…
高橋と池辺はSNSを見るのをやめ、とりあえず眠ることにした。 幸い翌日は週末で働きたい人だけ働く日になっていた。 商品の注文は随時受け付けているが、週末の発送は月曜日の午後か火曜日の早朝となる。 急ぎの発送を希望の場合、…
「どうしたんですか?1人でこんな夜中に」 「夜中って言ってもまだ9時ですよ?」 「池辺さんこそ、どうしたんですか?」 2人は窓に面したカウンターの席に座った。 窓の向こうには豪華ではないが、それなりに良い雰囲気の夜景が連…
池辺がドラマの現場に着くと、ちょうど才谷結衣が演技をしているところだった。 才谷は多くのスタッフに囲まれながら重要な役を演じていた。 今や期待の新人として芸能界で注目されていた。 出番が終わると、すぐに次のシーンがあるよ…
スマホを現場に持ち込まないようになり、池辺は現場を抜け出すことがなくなった。 それにより、神田に目をつけられることもなくなった。 池辺が途中退出することはなくなったが、池辺は工場での作業が人一倍遅いことが問題になった。 …
「どうして、こんなことに?」 友寄が高橋に聞いた。 「現場で働いていた方が途中で抜け出してしまうことが頻発しています。これは以前友寄さんにもお伝えした件です」 「はい、聞いています」 「彼女は精神的に不安定な部分があると…
工場での3時間の仕事が終わり、高橋と池辺は施設内にあるカフェに移動した。 カフェには多くの人が着ていた。 カフェの利用は1日一杯であればなんでも無料でできるようになっていた。 多くの住民はこの施設で働いた後に、友人たちと…
そこに流れている川に乗れない人は、ただ呆然と立ち尽くし、枯れていく。 植物じゃないのに、ただそこに立ち尽くし、もがくことしかできない。 レール 普通 普通じゃない 常識 礼儀 上下関係 そういうのがダメだと言われたのはも…
俺は今も目覚めず眠っている。 俺の耳には聞こえている。 機械的な何かが一定の間隔で鳴り響いていることを。 おそらく病院のベッドで眠っているんだろう。 全て知っている。 でも起きることはできない。 美佳子へのメッセージ 俺…
「Aさんは学生時代友人の葛西さんから1万円盗まれたことがある。こう証言しています」 「嘘をついているのはあなたなのではないでしょうか?」 「そんなことはありません」 俺は智樹の顔を見た。 智樹が全て仕組んだことなのか。 …
それから俺は何度も葛藤に襲われた。 智樹が嘘をついてることを言おうか言わないか。 東郷のことなど関係ない。 だから言ってしまえばいいんだ。 パンドラの箱を開けてしまえばいいんだ。 でもこの情報をくれたのは東郷だ。 東郷は…
「すみません、お忙しいところ」 「いえ、どうしたんですか?」 「少し聞きたいことがありまして」 「ええ」 「田宮さんとは大学からのご友人とお伺いしています」 「ええ、はい」 「そうですか」 「どうされたんですか?」 「い…
ルドラの自転車に乗りながら、コンビニへ向かった。 ルドラがフランスへ行く前、2人でよくコンビニへ向かったことがあった。 話をすることも、何も話さずただ自転車を漕いでいるだけの時もあった。 俺はあの時間がとても好きだったの…
「俺はこのままルドラを待ち続けたらいいんだろうか」 「そんなことはないよ。その人のために一生を使う必要はない」 「でももしもルドラがまた帰ってきたいと思った時、俺は裏切ってしまうことになる。ルドラは嫌々フランスに行ったか…
充の親からの仕送りは3万円だった。 でも充は当時、俺と同じ4万円の家賃がするアパートに住んでいた。 充はバイトもせず暮らしていたことを知っている。 一度バイトをしたことがあったがすぐに辞めてしまったのも知っている。 大学…
それからしばらくは、平穏な日々が続いた。 サークルのみんなで集まって大学生活を謳歌していた。 でも俺は密かに充への想いを抱えていた。 これまで、俺は自分がゲイであると伝えると、関係が崩れてしまうことを何度か経験していた。…
この話は現実に類似する点もあるかもしれませんが、全て架空の人物と架空の出来事です。 実在する特定の人物について書いたものではありません。 以下、小説内容(未完成のため修正する可能性があります。) 「タイトル未定(ご自身で…
凪子に手を叩かれ、陸はやっぱり悲しくなった。 どうしてこんな人がお母さんなんだと悔しくなった。 でもまだ5年生の陸にはその気持ちをうまく説明することはできなかった。 ただただ悔しい思いを胸に抱きつつも、押し殺さなければな…
翌朝俺たちは家に帰った。 その後は陸と一緒に畑仕事をしたりして過ごした。 東京に住む陸にとって畑仕事をすることも立派なGWの過ごし方かと思った。 GWも終わりが近づき、陸は帰らなければならない日がやってきた。 「ねえ、陸…
俺たちは高山村でキャンプをすることにした。 キャンプ場の目の前には川があり、俺たちは陸と川遊びをした。 陸はキャンプをしたことがないようで、とても楽しそうに遊んでいた。 「いっぱい食べるんだぞ」 陸はバーベキューを頬張っ…
陸を家に招き、どうしてここへやってきたのか聞くと、ひどい話が返ってきた。 陸の母親と妹は陸を置いて、旅行に行ったというのだ。 おそらくゴールデンウィーク中は帰ってこないと言っている。 なんという母親だと思った。 「そうか…