【ブログ小説】ここだけは確かな場所16
俺たちは家に帰っていた。 今できることは陸からの反応を待つことだけだ。 陸は今頃何をしているのか、とても心配だった。 親に虐待をされて、人生が嫌になってしまうこともあるかもしれません。 もしそうなったとしたら、大変なこと…
俺たちは家に帰っていた。 今できることは陸からの反応を待つことだけだ。 陸は今頃何をしているのか、とても心配だった。 親に虐待をされて、人生が嫌になってしまうこともあるかもしれません。 もしそうなったとしたら、大変なこと…
調べてみると、家から30分ほどのところに児童相談所があった。 ゲイブリエルと訪れてみると、かなり大きな田畑の前に大きな古民家がある少し素敵な場所だった。 そこには子どもから大人までたくさんの人が生活しているように見えた。…
俺たちはとりあえず帰りたかった。 聞いてはいけないもの、見てはいけないものを見たような気がする。 いや、見なければならなかったものを見たような気もする。 陸の母親は陸を虐待していたのだ。 いやこれを虐待と言えるのだろうか…
「もう、陸ちゃん、慌てたらダメじゃない。陸ちゃんはかかってない?コーヒーが冷めててよかったわ。綺麗に拭かないと」 「だ、大丈夫ですか?」 店員がやってきた。 床はビチャビチャになっていた。 母親は陸を叱らなかった。 むし…
次の朝、俺は陸を東京へ連れて行くことにした。 陸には申し訳ないが、あの親のことだ。早い方がいいに決まっている。 「陸、もう帰ろう」 「いやだ。僕はここにいるんだ」 「だめだ。たとえ君がここにいることを望むにしても、一度お…
俺はゲイブリエルに一部始終を話した。 「ねえ、何こそこそ話してるの?」 「こそこそって、君のことだよ」 「君のお母さんが、君を連れてきて欲しいって」 「え、どういうこと?」 「どういうことも何も、君がここにいることを言っ…
翌日俺たちは千曲市へ行くことは諦め、陸のことを警察へ相談することにした。 陸は警察へ行くことを嫌がったので、ゲイブリエルに任せて俺一人だけで警察へ向かうことにした。 「ああ、井崎さん」 「こんにちは、今日は相談がありまし…
「あれ、陸くん、どうしたの?なんで泣いてるの?お母さんは?」 陸は井崎宅へ上がった。 「とりあえず上がろうか」 陸はソファーに着くなり、ホッとしたのかお腹を鳴らした。 「え、陸くんお腹空いてるの?」 「うん」 とはいえ、…
陸は家に着くなり険しい顔で母親の顔を見ていた。 陸は母親がどういう人間なのか見極めようとしているのかもしれない。 この頃になってようやくわかり始めたのかもしれません。 この母親が良い人なのか悪い人なのか。 自分が苦しく思…
「はい、それでは授業を始めます。みんな保健の教科書を出してください」 生徒たちは教科書を取り出した。 「はい、今日は体の仕組みの話をします。みんなはおならがなんで出るか知っていますか?」 「ええ、おなら?」 女の子が口に…
陸は家に着いたところだった。 「陸、あんたなんであの人たちについていったの?もう2度とあんなことはしないで!いいわね」 陸の母親・凪子が陸をきつく叱りつけた。 陸は一瞬悲しそうな顔をしたが、すぐに笑顔を作った。 「陸?食…
しばらくしてゲイブリエルが戻ってきたが、顔色は優れません。 ティちゃんは見つからなかったのだ 今頃ティちゃんは何をしているのだろうか。 とても心配だが、きっと大丈夫と期待したり、また悩んだりと、落ち着かない状況が続いた。…
ブログ小説を書くことにしました。 今まで歌詞考察を書いてきましたが、やっぱり自分オリジナルなものを書きたいと思うようになりました。 昔小説を書いたことがあり、ずっと書きたいと思っていましたが、なかなか書けずにいました。 …
俺とゲイブリエルはその後もティちゃんを必死で探した。 これまでもそうだったように、俺たちはティちゃんが見つかるまで探すつもりだった。 疲れてしまい、家に戻ってくるが、どうしても落ち着かなくて外へ出ていってしまうのだ。 そ…
車で警察署へ向かう途中、俺は陸にティちゃんのことを聞いてみた。 「ティちゃんがいなくなったんだ。どこに行っちゃったんだろう」 「ティちゃんなら外に出かけたよ。外に出たそうにしていたから、僕が出してあげたんだ」 「え」 俺…
しばらくすると、新居に着いた。まさか小さな客がいるとは思いもしなかったが、やっぱり新居は快適だった。 (新居イメージ) 新居を見て、陸は驚いたような表情を見せた。 ティちゃんは新しい家ということで、少し不安そうな顔をして…
人生にはやり直したいことがあっても、やり直せず、流れていくのだ。 川は流れ、風は吹き、時間は過ぎていく。 立ち止まって休みたい時も、時は流れていくのだ。 俺は東京でプログラマーとして、働いていた。 好きで始めたことだが、…