【「鬼滅の刃」が面白い理由】ポイント④鬼が人間ぽくて味方になる
「鬼滅の刃」は様々なヒット作の要素を吸収しています。
これについては、livedoorNEWSの「鬼滅の刃」初代担当編集者のインタビューからわかります。
作者の吾峠呼世晴さんが作り出すセリフに魅了された初代担当編集・片山達彦さんは、吾峠呼さんをなんとかスターに成長させようと努力したように思います。
そして、ワンピースの作者尾田さんやHUNTER×HUNTERの作者・冨樫義博の意思を探らせたんですね。
そうして織り込まれた構成がたくさんあると思います。
例えば、柱や十二鬼月など主人公より強いキャラがどんどん登場する点や、鬼を使うなどの設定、あるいは敵である鬼の事情を描くなどの構成が織り込まれています。
これはワンピースや約ネバなど様々な過去のヒット作から影響を受けているんだと思いますし、編集者は吾峠呼さんに影響を受けてもらいたいと思い、わざといろんな作品の良い部分を吸収したんだと思います。
でもそんな真似だけでは、これほどのヒット作を作ることはできないはずです。
何か独自性のような、光るものがないとダメなんですね。
そこでこの漫画のどこにその独自性があるのか考えたところ、ちゃんと発明のような独自性がありました。
それは敵である鬼の中に超良いキャラがいるということです。
私は鬼が敵だという設定を知って、ドラマ「ウォーキング・デッド」を思い出しました。
「ウォーキング・デッド」はもはやウォーカー対人間の戦いではなく、人間対人間の戦いになっています。
敵である、人間はとても悪い奴ですよね。
ニーガンもそうでした。
でももちろん良い人もいたんです。
でもリーダー格は絶対に悪い人です。
「鬼滅の刃」は鬼と人間の戦いであるのに、鬼の中にめちゃくちゃ人間ぽい味方を登場させました。
それが珠世と愈史郎なんですが、これで一気に私は引き込まれてしまいました。
もちろん、「約束のネバーランド」にも途中からムジカとソンジュという邪血が登場します。
このムジカとソンジュは鬼ですが、人間を食べなくても良いキャラなんですね。
ムジカとソンジュも人間の味方をしれくれますが、怪しくてぶっちゃけ何を考えているかわかりません。
でも「鬼滅の刃」の珠世と愈史郎は本当に人間になりたいと思っているキャラクターで、人間を助けて治療さえしているんですね。
敵である鬼が人間の超重要な味方になっているんです。
この設定はある種常識を超えた素敵な設定だと思いました。
ウォーキング・デッドでも、ニーガンが最終的にとても良い人に変貌してしまいますが、これはなんだかありえなくて納得がいきません。
でも珠世と愈史郎にはきちんと理由があり、そうだよな本当に良心のある人が鬼になったら、自分が鬼になることを拒否するんだよなと納得したんです。
そしてそうだとしたら、人間の味方をするんだろうなと。
基本的に物語は良い者と悪者の対決ですよね。
それが普通です。
大抵作者は悪い奴を悪く描きます。
でも悪いカテゴリーの中にも実は良い人がいるんだよと発明したのが、「ウォーキング・デッド」です。
「鬼滅の刃」はそれを超えて、人間を全面的に助けてしまう信頼できる適役を発明しました。
このように新しい発明をしてしまう人は、どこか普通の人とは違う知性があると思います。
そんな天才が作っている漫画だからこそ、鬼滅の刃は面白いんだと思いました。
「鬼滅の刃」はもっと面白くなる
私は「スターウォーズ」ファンなので、鬼滅の刃はまだスターウォーズのレベルには達していないと思いました。
はるかかなたの銀河系から…#スターウォーズの日 を記念した《特別映像》が到着‼️
皆さまの胸に、たくさんの希望が満ち溢れますように✨#フォースと共にあらんことを pic.twitter.com/ldaBkAwQBk
— スター・ウォーズ公式 (@starwarsjapan) May 4, 2020
スターウォーズにはフォースと、ジェダイというのが出てきます。
そこには伝説の子というものがキーワードとして出てくるんですね。
その神秘性が物語に奥行きを持たせて、人々をストーリーの中に招き入れてしまいます。
「鬼滅の刃」には炭治郎の謎が見え隠れしています。
炭治郎の耳飾りにはその神秘性に通じる伏線が隠れているのかもしれません。
ワンピースにはDの一族という神秘性があり、物語の拡充に成功しました。
しかしあまり広げ過ぎたらついていけなくなってしまうので、ワンピースはその点で失敗しています。
「鬼滅の刃」はそのさじ加減が非常に上手だと思います。
どこまで広げたら良いのか測りながら、展開を進めている気がします。
ワンピースの失敗を受け、どれくらい物語を拡充するのか、今後の鍵になると思います。
果たして「鬼滅の刃」は今後どう面白くなっていくのか注目です。