この話は現実に類似する点もあるかもしれませんが、全て架空の人物と架空の出来事です。
実在する特定の人物について書いたものではありません。
以下、小説内容(未完成のため修正する可能性があります。)
「タイトル未定(ご自身で決めてください。同性愛の話です。)」
ルドラとの別れ
俺は今夢を見ている。子どもの頃起きた出来事や、日々の延長線みたいな出来事から、本当に夢のような出来事まで。
俺はもう何度も何度も夢を見たんじゃないだろうか。
そろそろ夢も飽き始めてきたんだ。
意識は回復している、でもまだ目は覚めない。
さて俺がどうして病院のベッドで寝ることになったのか、整理することにしよう。
1年前、俺は3年間一緒に住んでいた彼氏と別れることになった。
彼氏はイスラム教徒のインド人で、日本語がとても上手で会話は全て日本語で行なっていた。
俺とルドラはゲイ用の出会い系アプリを使って出会った。
まだルドラが大学生の時で、俺たちはルドラの家で住み始めた。
「ルドラ、明日俺の家を片付けに行こうか」
「うん、いいよ」
俺の家はとても狭く、古くて住みにくいアパートだったため、俺たちは比較的綺麗なルドラの家で住むことになったのだ。
ルドラは自分の家でもないのに、汚いボロアパートを一緒に掃除してくれ、俺が家を解約するのを手伝ってくれた。
世田谷の古いアパートを解約し、俺はルドラの家に本格的に住むようになった。
ルドラはどこか寂しそうで、風が吹いたら飛んでいきそうなほど痩せていた。
俺は出来るだけご飯をおごってあげ、ルドラが金銭的に助かるようサポートした。
ルドラはバイトをしていたが、おそらくそんなにお金を持っていないと思っていたからだ。
その後、猫を道端で口説き拾って、2人で一緒に飼うようになった。
ルドラの家は猫を飼ってはいけなかったため、引っ越すことになった。
俺は派遣社員で、少し貯金があったため、すぐに引っ越すことにした。
そうして俺とルドラとピーちゃんの生活は始まったのだ。
2年後ルドラは大学を卒業後、一度転職をしたがIT系の会社に就職し、安定した生活をすることができるようになっていた。
俺は派遣先を変え、RPAでロボットを作る仕事をするようになった。
スーパーでの買い物では割り勘になり、ルドラは家に30万円ほど仕送りをするほど余裕ができていた。
休みの日はルドラがゲームをしているのを見ながら、俺は蓄えを増やすためにブログをしていたのだ。
ルドラの家はルドラからの仕送りもあってかリホームすることができた。
ルドラの家は、見違えるほど綺麗になり、家族も喜んでいた。
そんなある日、俺はルドラから別れを告げられる。
9月のことだった。
「まさちゃん、最近ブログどう?」
「ん?月5万くらいは稼げるかな」
「そうか」
「うん、なんで?」
「俺、11月からフランスに行くことになった。」
「フランス?」
「うん」
「マジで?」
「うん」
俺は本当にショックですぐに胃が痛くなるのがわかった。
「それってもう決定なの?」
「うん」
「マジで?」
「うん」
「なんで?俺もついて行ってもいいの?」
「うん、いいけど、もうまさちゃんとは住めない」
「え?」
「まさちゃんとは恋人ではいられない」
「なんで?」
「俺、女の人と結婚するよ」
横浜で食事をしたあとの帰りのバスの出来事だった。
俺はなんとか説得しようとしたが、それも難しいということがすぐにわかった。
ルドラは親から結婚を勧められていたのだ。
俺たちは同性愛者で、ルドラは家族にそのことを打ち明けられずにいた。
体が悪い母親を気遣ってか、ルドラは母親に自分がゲイであることを告げられないでいたのだ。
自分がゲイだと聞いたら、母親は倒れてしまうと思っているのだ。
「そんなことはないよ」と言ったがルドラはそれを受け入れなかった。
ルドラはとても家族想いで、俺よりも家族の幸せを選んだのだ。
ルドラは元々フランスに住むことを夢見ており、フランスに本社のある会社に就職をした。
まさかフランスに転勤の話が現実になるとは思っていなかったが、イスラムの神と相談し、フランスへの移住を決意したのだ。
俺はフランスで仕事が見つかるかわからなかったため、ついていくことを断念した。
俺はとても悲しくて、現実をなかなか受け入れることができなかった。
3年間連れ添った大好きな彼氏は、あっけなく俺の元を離れていくことになってしまった。
新しい展開と過去の出来事
ルドラとの残りの2ヶ月は早いようで遅いとても奇妙な時間だった。
俺は2度、ルドラに泣きついて残ってもらうよう説得したが、ルドラの意思は固く引き止めることはできなかった。
ルドラと離れるのは悲しいけど、結婚を応援したい気持ちもあった。
ルドラが幸せになるならと自分を落ち着かせたのだ。
もし結婚が失敗してしまったら、俺が温かく迎えよう。
ルドラが自分で納得するまで、待つのも良いのかもしれないと言い聞かせた。
ルドラとの最後の日、俺はルドラを羽田空港まで見送り、最後のルドラを目に収めた。
最後はあっけなく、ルドラらしい別れとなった。
俺は悲しくて辛いせいか、素っ気なくルドラを見送った。
「ルドラありがとう」
本当はそんな思いでいっぱいだった。
寂しくて、悲しくて、これからの生活に不安がいっぱいで恐怖さえ覚えた。
そのせいで1週間は荒れた生活を送っていた。
ルドラにも迷惑をかけたかもしれない。
現実を受け入れることができず、ルドラのLINEの返事を求めすぎたのだ。
それでもルドラは一生懸命返してくれた。
「俺のせいで、まさちゃんを苦しめてごめんね」
ルドラの言葉で俺は少し元気を取り戻した。
「離れていても、ずっとまさちゃんの味方だよ」
ルドラはずっと俺を励ましてくれたのだ。
少しずつ元の自分に戻りつつあった頃、大学の友達から連絡があった。
東郷与作は俺の大学の友人だ。
東郷は俺がゲイだということを知っている。
東郷とは社会人になっても一番よく連絡を取り合っている仲だ。
俺は友達が極端に少なく、東郷以外にはあと1人、近藤という男しか親しい友人がいなかった。
俺は東郷にルドラとの別れのことを相談していた。
ルドラとは宗教の問題と、社会的問題、同性愛の問題から別れることになったが、日本人としてはまだお互い好きな相手と離れ離れになることは納得できないのだ。
それに好きでもない女性と結婚しようとしていることに、違和感を感じていたようだ。
「そういえばさ、充と智樹がまだ繋がってるらしいぞ」
「ん?そうなんだ」
充とは、俺が大学時代に好きになった男のことだった。
「てか充さ、離婚したみたいだよ」
「そうなの?」
充が結婚していたことに俺は驚いた。
「うん、でも今裁判で揉めてるみたい」
「え?」
充と智樹の繋がり
「そうなんだ」
「うん、充の奥さんが2,000万円の借金を抱えていたことがわかったんだって」
「え、そうなん?」
「うん、それがわかってあいつ半年で離婚したみたい」
「そうなんだ、でも2,000万円なら2人で一緒に返していけば良いんじゃない?」
「うん、でも充は元々相手のことを好きじゃなかったみたい」
「ん?」
「充は長男で親に結婚しろって言われて、無理やり結婚したみたい。それで半年で別れたんや」
「そうなん?なんでなん?」
話が複雑になってきたので、2人は地元の大阪弁になっていた。
「充は一度もセックスをしなかったらしい、それに週に一回京都に行ってたみたいやで。それで今裁判してるねん」
「そうなん?」
「充は奥さんが借金を抱えてたって知らなかったから離婚したいって言ってるんやけど、相手は充が元々好きじゃなかったんじゃないかと反論してきてるみたいや」
「そうなんや。計画結婚か」
「うん、でもそんなこと証明できるの?てか1週間に一回京都に行って何してたん?」
「智樹に会ってたんや」
「智樹?」
俺はやっぱりなと思った。
智樹は俺の大学時代の友人で、充とも仲がよかったのだ。
「あいつらやっぱできとったんやと思う」
「智樹と充が?ほんまなん?」
「うん、だってあいつ一回往復2万円かかる京都まで広島から1週間に一回も向かっててんで」
「そうなんや」
「それを智樹も証言してる。普通男同士で、毎週新幹線で会いに行ったりせんやろ」
「それっていつからなん?」
「結婚して2ヶ月後から毎週会いに行ってたんやって。毎週出かけるから、奥さんが調べたらポケットから京都のコンビニのレシートが出てきたらしい」
「なんで2ヶ月後なん?」
「はじめはまだ好きやったんちゃうか?」
「でも計画結婚かもしれないんだよね?」
「うん、もしかしたらこれは智樹が計画したことかもしれん」
俺が友達を無くした理由
俺は中学時代から男に興味があり、高校ではゲイという存在を知り、それが確信に変わった。
はじめは自分がゲイであることを恥ずかしく思ったが、寝ても覚めても男のことばかり考えている自分に気づき、認めざるを得なくなった。
大学時代は自分がゲイであることを隠して、ゲイの掲示板で男に会っていたが、大学生活に慣れ始めたある日、充に出会うことになる。
大学にはたくさんいい感じの人がいたが、その中でも俺は充に一番惹かれたのだ。
俺は充と仲良くなりたくて、充と同じアパートに下宿することにした。
もちろん今となってはちょっと積極的すぎると思い自分でも引くくらいだが、当時は充と仲良くなりたいという思いが強かったのだ。
何より充が住むアパートは家賃が非常に安かった。それも会ってか俺は下宿したからすぐに充と仲良くなり、毎日一緒に遊ぶようになった。
智樹とは大学の語学の授業で一緒になり、サークルの溜まり場へ誘うことになったのだ。
智樹も充と気が合ったようで、俺は智樹と充と三人で遊ぶようになった。