ドラマや映画、小説が簡単すぎるからみんな勘違いしてしまう

ドラマ

ドラマや小説、映画もそうですが、バッドエンドもハッピーエンドも展開が簡単すぎるのが問題だと思います。

現実はそんなに簡単ではないのに、映画やドラマ、物語はとても簡単です。

最近あった簡単なシナリオをあげて書いていきます。

ちなみにタイトルにあるようにドラマや映画、小説が簡単すぎるから皆、努力量を謝ってしまうのではないかと思います。

ドラマや映画、小説がもっと難しかったら、皆期待をせず努力し続けるので、勘違いせずに生きられるのではないでしょうか。

ドラマや映画、小説が簡単すぎる例

私が最近見た中でも、「おいおい現実はそんなに簡単じゃないよ」と思うシーンがありました。

「なつぞら」の場合

まずはNHKの朝ドラ「なつぞら」です。

序盤十勝から上京したのち、主人公のなつが東洋動画に就職する際、なつは一度就職に落ちてしまいます。

その後、仲さんの助けもあり再度挑戦するチャンスをもらい、もう一度試験を受けて合格するのですが、現実はそんなに甘くありません

そんなに難しい会社ならそんな簡単に受からないのではないでしょうか。

二回受けたぐらいで受かっているなら皆努力などいらないでしょう。

普通はそんなにうまくいかないから皆挫折し、夢を諦めるのです。

現実をきちんと描くのであれば、ここでもう一度落ちてしまい、なつ挫折しそれでももう一度一度努力し合格する、あるいはまた落ちて途方にくれボロボロになっているところに転機が訪れるなどというシナリオを描いた方が現実的なのです。

それを見た視聴者もよし自分も頑張ろうと思えるのではないでしょうか。

ちょっと頑張ったら夢のスタートラインに立てると思ってはいけません。

主人公をもっと苦しめなければ、ドラマを見る価値はないのです。

もちろん脚本家としては早くなつを東洋動画に就職させて、次の展開を描きたかったということはわかりますが、それでは見る意味がないのではないでしょうか。

私はもっと難しいドラマを制作することが、人生の糧になると思うのです。

「グランメゾン東京」の場合

私は「グランメゾン東京」の大ファンで、いつもとても楽しく見させてもらっています。

「グランメゾン東京」は最近では珍しく大当たりのドラマだと思っています。

しかし一点だけ気になることがありました。

グランメゾン東京がオープンした当初、尾花夏樹がグランメゾン東京に関わっているということが出回り、客が一切来なくなってしまいました。

その窮地に際し、尾花は客が来ないならこっちから売りに行くと言って、フードフェスで料理を振る舞い続けました(名前はスリースターズ)。

三つ星を狙うレストランの腕前は相当なもので、スリースターズはSNSで爆発的に拡散され話題になります。

しかしフードフェスの運営業者にスリースターズも尾花夏樹が関わっているとリークした人がおり、尾花たちはフードフェスでの営業をさしどめにさてしまいます。

それがきっかけとなり、「グランメゾン東京」は大繁盛になるというシナリオでした。

私はこれも非常に甘い展開だと思いました。

現実ではもっと難しく、ヤバイ店だと思われたら人はやってきません。

5話の最後にグランメゾン東京へ大勢の客が押し寄せてくる。

そんな展開があったら、もっと多くの成功者が出ているでしょう。

そんなに甘くないからこそ、皆苦労しているのです。

現実ならば、グランメゾン東京は5話の段階で閉店に追い込まれています。

しかし本当に繁盛する店舗であれば、ここからが勝負なのではないでしょうか。

こんなに早く繁盛店になるなどありえないのです。

現実ではここから店員がバイトなりして、徐々に客を増やしていくのです。

そういうシナリオを描いた方がとても現実的で、私たちも頑張ろうという気になるのに、どうしてドラマはこうも簡単なのでしょうか。

「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」の場合

「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」はもはやディズニーなので、仕方がないかもしれません。

この映画は家族の大切さや愛の重要性を描いた映画なので、展開的に幼稚になっているのは仕方がないかもしれません。

しかし子どもや大人に対して現実の厳しさを伝えることも重要だと思います。

これ以降はネタバレになるので、ご注意ください。

「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」では、シスの最高指導者パルパティーンの巨大な力に立ち向かうレイだが、助けにやってきたカイロ・レンはパルパティーンの力により谷底へ落ちてしまいます。

レイもフォースを吸い取られてしまい絶体絶命のピンチに陥ります。

しかし、歴代のジェダイの騎士のフォースの力が結集し最強のパルパティーンをいとも簡単に倒してしまいます。

それまでの困難な状況はなんだったのかと、拍子抜けしてしまう展開でした。

これにはもっと二転三転あっても良かったのではないかと思います。

なぜなら相手はあの偉大なパルパティーンです。

死んだと思っていたのに死んでいなかったキャラクターです。

さらにレイとカイロ・レン2人のフォースを吸い取っているのです。

そんなに簡単に死ぬわけがないのではないでしょうか。

物事はこんなに簡単に解決するものではないです。

レイはもっと頭を使いもっと窮地に追い込まれて、パルパティーンを倒すべきでした。

物語の主人公が簡単に問題を解決する影響

物語の主人公が問題を簡単に解決してしまうと、それを見て育った子どもたちは大人になってもその程度で成功できるんだと勘違いしてしまいます。

そういう考え方で大人になって、何かに挑戦しようと思った時、ここでドラマや映画のように必ず助けが来るんだと思っていても、現実では誰も助けてくれません。

そして挫折し、諦めてしまうことになるのではないかと思います。

物語も現実と同程度の困難さを演出し、同程度の努力が必要だと幼少期から伝えていたら、粘り強い大人たちに育つのではないでしょうか。

現実では誰も助けてくれない。

物事はそんなに簡単に進まないと知っていることは非常に重要なのです。

これが大きく活かされていたのが、大ヒットしたアベンジャーズです。

アベンジャーズは、サノスという最高の的に一度負けてしまいます。

絶望の淵に立たされた最強ヒーロー軍団。

彼らは一度勢力を半分にされてしまうのです。

これこそが苦しい現実で、ありのままの姿なのではないでしょうか。

そして最も愛されていたアイアンマンの死。

現実とはこういうものではないでしょうか。

現実のレベルに押し上げた苦しみを描き、アベンジャーズは大ヒットしたのではないかと思います。

物語がこのままのレベルで進むのであれば、大人がこんなに甘くないんだよと教えなければならないと思います。

また、その際も具体的に現実ではこの何倍も困難な状況が続くと提示すべきです。

それが後々成功する大人たちを育てることになるのではないでしょうか。