映画『ジョーカー』はとてもショッキングで残酷で考えさせられる映画でした。
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— DC公式 (@dc_jp) February 14, 2020
『ジョーカー』はどうしてこれほどまでに話題になったんでしょうか。
犯罪とは何か、人とはどういうものなのか、人生とは何か?
こういうことがとても複雑に絡み合っているからではないでしょうか。
そして現代が抱える格差とは?
ヒーローとは?
良い人、すごい人って?
そういうとても重要なこともここにはきちんと語られているんです。
『ジョーカー』が伝えているポイントは3つあります。
それは
- 正義とは何か?
- 悪とは何か?
- 人とはどういう生き物なのか?
です。
目次
『ジョーカー』とは?
まず『ジョーカー』の内容について書いておきます。
ここからはネタバレになるので、観た人だけ読んでください。
アーサー・フレック(ホアキン・フェニックス)は、窮地に立たされると笑ってしまう病気を抱えている、貧しい大道芸人です。
アーサーは心臓病の母親・ペニーを看病しながらゴッサムシティで生活しています。
ゴッサムシティは貧富の格差が問題になっており、貧しい一般市民は肩身の狭い日々を過ごしていました。
金持ちは裕福な生活をしている一方、貧しい人々は辛い生活を余儀なくされていました。
トーマス・ウェイン(バッドマンであるブルース・ウェインの父親)は政界に進出し市議会議員となるが、医療制度の解体を推し進めたことなどから困窮する貧困層からバッシングを受けていました。
口では良いことを言っているように見えますが、中身はとても残忍な人物でした。
アーサーは母親からトーマス・ウェインの息子なんだと教えられます。
しかしそれは母親による嘘であることがわかりました。
母親は、アーサーが幼い頃に虐待しており、アーサーが追い込まれると笑いが止まらなくなってしまうのも母親の虐待が理由でした。
アーサーはいろんな人から裏切られ、殺人鬼へと変貌してしまいます。
銃をくれた大道芸の友人、アーサーをバカにした大スター/マレー・フランクリン、性格の悪い証券マンを立て続けに殺してしまいます。
彼はとても残酷な人生を送り壊れてしまったように描かれています。
映画『ジョーカー』感想
ゴッサムシティには犯罪者がたくさんいます。
アーサーはもちろん犯罪者ですよね。
人を何人も殺してしまっています。
これはとても悪いことです。
捕まらなければなりません。
当然です。
しかし悪いのはアーサーだけではありません。
アーサーをバカにしたマレー・フランクリン、アーサーとペニーを侮辱したトーマス・ウェイン、女性にひつこくいたずらをした証券マンたち、アーサーに銃を渡した大道芸仲間など。
世の中には警察には捕まらないけれど、人に不幸を与える悪い人がたくさんいます。
アーサーをずっと騙してたペニーも悪い人です。
アーサーは小人症だけど心の優しいゲイリーは殺しませんでした。
アーサーが愛したソフィー・デュモンドのことも殺しません。
ソフィーはアーサーを愛してくれませんでしたが、悪い人ではありません。
アーサーが殺した人は悪い人ばかりです。
このことからアーサーはダークヒーローに見えるかもしれません。
しかしその行為は非常に残酷でおかしいとわかるでしょう。
人に悪影響を与えてはいけない
『ジョーカー』を観た人が学ばなければいけないことは、人に悪い影響を与えてはいけないとうことと、その理由です。
アーサーは犯罪者となります。
アーサーを犯罪者にしたのはアーサー自身の心の弱さが要因の一つですが、周りの環境も理由の一つでしょう。
人に悪い影響を与える人は、心の弱い人を犯罪者にする可能性があるんだと、『ジョーカー』は伝えたかったんではないでしょうか。
誰かを悪い気分にしたら、あとで必ず自分に返ってくる。
もちろん現実の世界には悪いことをしたら必ず自分に返ってくるなんてことがあるわけではありません。
しかし自分が行なったことで、苦しんでいる人が必ずいるんです。
そしてそれが積み重なれば、人は壊れてしまう可能性があるんだと。
こんなことは幼稚園で教えられるようなことです。
しかしどうして映画でこんなことを伝えなければならないんでしょうか。
それはどんなに教育されても、悪い人は無くならないからではないでしょうか。
アーサーは決して正しくない
どうして悪人は生まれるんでしょうか。
それがこの映画の肝になるところです。
アーサーは悪人によって善を踏みにじられました。
アーサーは喜劇を愛していました。
どんなに苦しい経験をしても人を笑わせようとしていたんです。
映画の冒頭、アーサーはとても素晴らしい人でした。
しかしアーサーは徐々に悪人になっていきました。
これは映画ですので、単純に映るかもしれませんが、実際の世の中ではこの現象が10年という長いスパンで起きるんじゃないでしょうか。
人間は辛いことを繰り返し経験したら、徐々に悪人になることもあるんです。
そしてそれは現実に起きてもおかしくないことです。
アーサーのように何度も人に裏切られてしまったら、世間を憎んでしまう可能性はいくらでもあります。
他の悪人も悪人が形成した
この映画ではアーサーが悪人になる過程のみ描かれていますが、他の登場人物もアーサーと同じように徐々に悪人になったんではないでしょうか。
マレー・フランクリン
マレー・フランクリンは人気トーク番組「マレー・フランクリン・ショー」の司会者です。
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マレーは自身の番組を面白くするために、アーサーをバカにしました。
人々はバカにされたアーサーをさらにバカにしたんですね。
普通ならそれも美味しいと思いスルーするんだと思いますが、すでに追い込まれていたアーサーはどうしても許せなかったんではないでしょうか。
アーサーはマレーを尊敬していました。
マレーは憧れの人物だったんです。
アーサーはマレーによって救われていたのかもしれません。
しかしそんな大切な人が、自分をバカにしたんですね。
アーサーにとってはとてもショッキングなことだったのではないでしょうか。
しかしマレーも自分の番組を面白くするために仕方なくしたことかもしれません。
あるいはマレー自身も何か大きなストレスを抱えていた可能性があります。
証券マン
アーサーがはじめに殺した3人の証券マンも、仕事で何か大きなトラブルを抱えていたのかもしれません。
それが原因で、女性をいじめていたのではないでしょうか。
そこにたまたま通りかかったアーサーも、仕事でトラブルを抱えていました。
悲しみや苦しみは連鎖します。
人はどんどん悪へと吸い込まれていくんです。
しかしだからと言って悪を肯定してはいけません。
『ジョーカー』が一番伝えなければならないこと
『ジョーカー』は決して悪を肯定する映画ではありません。
だからこそ、最後の2つの犯罪はとてもショッキングなものでした。
アーサーが行なったことは、とてもひどいことです。
ブルース・ウェインはトーマス・ウェインとその奥さんを目の前で殺されてしまいました。
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— シネマトゥデイ (@cinematoday) February 14, 2020
もしもブルース・ウェインも心が弱ければ、アーサーと同じように悪人になっていたんではないでしょうか。
しかしブルース・ウェインは悪人にはならずヒーローになりました。
ブルース・ウェインはどうしてヒーローになれたんでしょうか。
それはブルース・ウェインの周りにはアルフレッド・ペニーワースという善人がいたからです。
それが大きな要因ではありますが、本質はそこではありません。
ブルースだって、悪人になる可能性はありました。
この映画が伝えなければならないことは、アーサーだって善人になれたということです。
境遇が悪人を作るのではない
この映画が最も伝えるべき重要なことは、悪人は環境によって作られるのではないということです。
悪人は弱い心によって作られるんです。
アーサーの周りの環境はとても残酷なものでした。
アーサーは孤児で、里親は自身を虐待しました。
仕事もうまくいかず、恋人にも恵まれませんでした。
世間は混沌としています。
貧富の格差が拡大しているんですね。
しかしそんな状況に陥っても犯罪を犯さない人はいくらでもいます。
アーサーは自身の心の弱さが原因で悪人になったんです。
アーサーは元から悪人だったのではないでしょうか。
しかしアーサーはただ知るべき真理を教えてもらえなかっただけです。