私はアドラー心理学の「嫌われる勇気」を読んでアドラー信者になってしまったんですが、今このアドラー心理学を知らない人は知っている人から心の中で哀れに思われていることを知った方がいいでしょう。
もちろんそういう発言がこのアドラーの教えに反するんですが、ここはあえてお伝えしておきたいと思いました。
そして「幸せになる勇気」この本は名前が宗教ちっくなので、そこまでヒットはしていませんが、この本も読まないと後悔することが非常に多いので、読んでもらいたいです。
特に人をマネジメントする人、昭和を生きてきた人は読めば良いことがあるので、ぜひ読むことをお勧めします。
この記事では「幸せになる勇気」で特に感銘を受けた教育の仕方についてお伝えしていきます。
褒めてもいけないし怒ってもいけない
私は「幸せになる勇気」でもっとも心に残ったのは、人間は褒めてもいけないし、怒ってもいけないというところです。
その理由としては、褒めたら褒められるために努力し、怒ったら怒られないために努力する人間になり、それは結果的に競争心理を育み組織をダメにするからです。
結論から言います。
この本の根源はここにあると思います。
褒めてはいけない理由
「幸せになる勇気」を読まなければいけない人は、部下をマネジメントしている人です。
もちろん教師も読むと人生が変わると思います。
「幸せになる勇気」では人を褒めてはいけないと書いてます。
褒めてあげることはとても良いことだと誰もが思っていることだと思います。
しかし褒めると最終的に組織として、悪い結果を生んでしまいます。
なぜなら褒められた人は、競争が正しいことだと勘違いしてしまい、他人を敵だと思ってしまう可能性があるからです。
褒められるということは、ご褒美になります。
勉強を頑張ったら、何か欲しいものを買ってもらえるとしましょう。
あるいは「よく頑張ったね」と褒めてもらえるだけでも良いでしょう。
そうなると、褒めてもらうために努力することになります。
一見とても良さそうに見えますが、その先に落とし穴があります。
努力したのに褒めてもらえなくなる日が必ずやってきます。
その時その人はどうなるんでしょうか。
自分に自信を無くしてしまいます。
最悪いつも褒めてもらう人の邪魔をするようになるかもしれません。
褒めることは一見良さそうな行為ですが、それは結果的にその人のためにはなりません。
怒ってはいけない理由
厳しく育てるのが愛情だと言っている人がいるかもしれませんが、これもアドラーは完全に否定します。
もうご存知の人が多いと思いますが、何かをして怒ってしまったら、人は怒られないように努力することになります。
あの人は怖いから、頑張ろうとなるんですね。
その心理は果たして正しいでしょうか。
例えば何か悪さをしてしまった人に怒ってしまった時、たとえそれが悪いことだったとしても、怒られた方は「怒った人は怖い人なんだ」とそれだけを頭にインプットします。
だから「あの人には注意しないといけないんだ」という思考が働きます。
つまり結果的にはその人の前でしか、努力しない人になるんですね。
それは別に怒った人にとっては良いかもしれませんが、長い目で見れば別にそうではありません。
怒る人は次も怒らなければなりません。
悪いことをしたら何度も怒らないといけませんね。
それを続けていると、そのチームは脅迫的意識により独裁された状態になります。
それが何を生むかというと、「ミスをしたらあの人に怒られてしまう。」「あの人に近づくのはやめた方がいい」というミスコミュニケーションを生むことになるということです。
悪い人は隠れて悪さをするようになります。
やがて問題はより奥へとしまい込まれるようになり、やがてそのチームは崩壊していくことになるんですね。
一見統制が取れているように見えたとしても、その組織は見えていない部分でボロボロになっています。
なぜなら組織の一員は怯えているわけですから、反感を抱く人もいるでしょうし、無視する人もいると思います。
最悪の状況では、より悲惨なことが起きるでしょう。
ですので人に厳しく接することはあとあと自分にとって面倒になるということです。
今の時代はパワハラなど簡単に訴えることができる社会です。
昭和的な圧力による指導は、通用しないのでこれは得策ではありません。
人を尊敬する
では、ひとを育てるにはどうすればいいのか。
まずは相手に話を聞いてもらう関係を築かなければなりません。
仕事でも教育現場でも重要なことはコミュニケーションです。
なんでも話せなければそもそも問題は見えてきません。
昭和と平成などと壁を作って「今の若い人は・・・」と言っていては、人から相手にされるはずがありません。
自分で壁を作っているので、人から興味をもたれるわけがないんです。
ではどうするのかというと、自ら積極的に話しかけにいくことです。
アドラーはこれを”尊敬”と言っています。
尊敬とは普通は、「他人の人格や行為を高いものと認め、頭を下げるような、また、ついて行きたいような気持になること。うやまうこと。」となります。
例えば、子ども相手であれば、子どもが好きなゲームに興味を持つことです。
そして話しかけてあげるんですね。
そうすれば、子どもは自分が大好きなことに興味を持ってくれた大人に興味を示すようになります。
つまり子どもが先生に話すようになるんです。
部下を”尊敬”する
ビジネスにおいても同じです。
上司は部下を”尊敬”しなければなりません。
部下とコミュニケーションを取るために、部下が興味を持っていることに興味を持つことが重要なんです。
そこから人間関係を構築し、話を引き出すんですね。
コミュニケーションが良好になれば、様々な情報を見える化できるということです。
一度関係性ができてしまえば、たとえ怒ってもそこに愛を感じてもらえれば、人は反感を抱きません。
リーダーや上司はまずいろんな人を尊敬することが大切だということです。
そこには縦の関係ではなく、横の関係が必要だとアドラーは言っています。
縦ではなく横の関係を築く
アドラーが褒めてはいけないし、怒ってもいけないと言ったのは、横の関係を築かなければならないと伝えるためです。
縦の関係は組織をダメにしてしまいます。
アドラーはどんな人とも友達になるべきだといっています。
仲間を作るべきなんですね。
他人は敵ではなく仲間なんです。
一緒に目的を達成する同志でなければなりません。
それが結果として良い組織を築いていくのです。
競争社会は発展を生むかもしれません。
しかし協力の方が実は発展を生むんですね。
ともに協力しながら上がっていく。
自分の強みと他人の強みを活かし何倍もの価値を育む方が価値があるんです。
そのためには、褒めずに、もちろん怒らず、あえて横の関係を重視することが何より重要なのです。
部下の言葉に耳を傾け最善の判断を下す。
それこそがリーダー、経営者の勤めなのではないでしょうか。