【ブラックペアン 】渡海先生と高階先生の凄いところ

ドラマ

TBSの日曜劇場『ブラックペアン』はとても面白いドラマです。

西崎教授(市川猿之助)と佐伯教授(内野聖陽(うちのせいよう))が日本外科学会のトップを目指し争っています。

彼らは患者を救うことよりも、自分の地位を上げることに必死です。

腕はいいが医者とは呼べなような偉い方々を支える医師として渡海先生(二宮和也)と高階先生(小泉孝太郎)が出てきます。

渡海先生と高階先生は教授らが争うインパクトファクターよりも患者の命を救うことに重きを置いています。

そんな二人を近くで見続けるのが、竹内涼真さん演じる世良先生(研修医)です。

渡海先生は初回付近で人間味のない機械のような凄腕医師のように描かれていましたが、回を重ねるごとにその人間的魅力が映し出されてきました。

高階先生は医療技術を向上したいだけの、エリート医師として描かれてきましたが、本当は誠実な医師であることがわかりました。

渡海先生の凄いところ

二宮和也さん演じる渡海征司郎はブラックジャックほどの手術技術を持つ天才心臓外科医です。

彼は自分よりも劣る医師たちの弱みを見つけ、金をもらうという最低な医師です。

ですが、彼の腕がなければ救えない命がたくさんあるため、周りの医師たちは彼に頼るしかないのです。

そんな彼ですが、いつも法外な金額を請求するわけではないということがわかります。

きちんと研修医を教育するため、患者を救うために切磋琢磨するのです。

その類まれな洞察力と、シナリオ力、計画力が群を抜くほど凄いのです。

渡海先生の凄いところは技術だけではなく、人の行動を読む能力と、先を見通す能力だと思います。

人はこういう行動をするだろうから、先回りして準備をしておこうと考えることができるのです。

人というものはある程度同じ動きをします。

ある状況下では万人が同じ動きをするのです。

渡海先生はそんな人間の動きを頭の中でイメージしながら、将棋をするように計画を立てるのです。

彼の言葉一つ一つはあらかじめ考えたプランの中で動いた言葉なのです。

こう言ったらこうなる、だからこう言おうと常に考え行動しているので、失敗しているように見えて、実は踊らされていただけということになるのです。

もちろんこれはシナリオの中で起きていることなので、渡海先生の思い通りになって当たり前だと思います。

しかしそれは実社会でも応用できると思います。

人間はある程度同じ動きをするというのは、何十年も生きていればわかることです。

何か問題が発生し、その原因を起こした人は数日間は干されますが、一ヶ月も経てば忘れられます。

一ヶ月で無理なら、二ヶ月三ヶ月と人はすぐに忘れていく生き物なのです。

そう言ったことを知っていれば、何か問題を起こしてしまったからと言って焦る必要もないとすぐにわかるでしょう。

また女性は思い通りにいかなければ、それだけで悪口を言ったりする人が多いのです。

そういうことも逆手にとって、彼女たちの思い通りにいくように仕向けてあげると、ことはうまく進むかもしれません。

全てはその人の特性を理解してあげ、その欲望を満たしてあげながら、転がすことも可能なのです。

渡海先生はそのようにして、自分が一番旨味のある展開へと駒を進めていくのです。

高階先生の精神力

4話で小泉孝太郎さん演じる高階権太先生は西崎教授にインパクトファクターを与えるために「スナイプ」という最新医療機器を使用して手術を試みました。

佐伯教授も自分の名前を載せてもらうよう高階先生に協力しましたが、高階先生は西崎教授を選んだのです。

しかしスナイプで手術は成功したかに見えた少女の心臓は感染症を引き起こしてしまったのです。

少女の血液は固まりにくい性質のため、長く手術をするのは危険です。

高階先生は西崎教授にそのことを報告します。

西崎教授は感染症に気づかなかったふりをして、退院させるよう命じるのです。

それは少女を殺すことを意味します。

論文が掲載されれば、後から少女が感染症を引き起こしても、インパクトファクターが生きると考えた哀れな西崎教授の姿が描かれました。

普通の人であれば、上司に言われたことなので、間違えていようと従うのが、普通だと思います。

なぜなら上司の命令に従わなければ、立場を失い最悪の場合クビになるリスクがあるからです。

高階先生は自分をバカだと言って、少女を救うことを選択します。

そのきっかけとなったのが渡海先生の論文を書いて、すぐにこの病院から出て行けという言葉でした。

渡海先生は少女の資料を丸めて捨ててしまいます。

「いい研究ができてよかったな」そう言って去っていくのです。

彼女の命さえ犠牲にすれば、スナイプが普及し多くの命が救えるのです。

そうだとしたら、少女の命など犠牲にしても仕方がないと思ってしまう人が多いのではないでしょうか。

しかし医師というのは人を救うことを生業にしている人たちです。

人の命は平等です。

気づいていながら無視してその命を見殺しにするのは医者ではありません。

高階先生は自分の名誉を犠牲にして、一人の少女の命を救うことを決意します。

西崎教授はそれを聞いて、高階先生の名前をなかったことにします。

佐伯教授は自分の名前を一番下に掲載しなかったことを恨んでいるのか、高階先生を無下に扱います。

完全に立場を失った高階先生の状況に人が陥ったのならば、普通は不登校になるか、心を病み長く休養をもらうような状況かと思います。

誰の支持も得られなくなり、落ちぶれていくのです。

しかし彼は病院に通い続けました。

そして新たな提案である内視鏡下手術支援ロボット「ダーウィン」の使用を訴えたのです。

彼は立場を失った今だからこそできることがあると言い、失敗したら辞める覚悟で危険な治療を推奨します。

それは全て幼い少女の命を救うためなのです。

もちろん現実ではリスクがある行為です。

渡海先生がいなければ、少女を救うことはできなかったでしょう。

これはフィクションだからできたことです。

しかし現実社会においても、立場を失ったからといって、それを理由に落ちぶれてはいけないと思います。

正しいことをして失った立場は、諦めずに挑み続ければ修復できます。

人は忘れる生き物です。

めげずに挑み続け、正しいことを行い続ければ必ず光はさすのです。