『グッド・ドクター』一話考察「新堂 湊の強さ」

ドラマ

山崎賢人さんが演じる自閉症の青年・湊は、小さい頃から人と違うためいじめられていました。

湊は小さい頃から辛いことがあっても笑っていました。

いつも兄が助けにきてくれたからかもしれません。

そんな兄が湊に見せた愛の後に、事故に巻き込まれて亡くなってしまいます。

湊が医者になったのは兄が子どもの頃に死んでしまっためです。

「全ての子どもを大人にする」

「みんな大人にする」

正しいことを言っているのに、人と違うという理由で否定される

目の前で死にかけていた将輝くんを見捨てるわけにはいきませんでした。

自分なら救えるから、将輝くんを助けようとしました。

しかし人と違うという理由から、母親から将輝くんに触るなと言われてしまいます。

それでも死なせるわけにはいかないため、湊はあとで問題になる行動をとってしまいます。

どんなに正しいことを訴えたとしても、湊は周りの人から信じてもらえなかったのです。

将輝くんは絞扼性(こうやくせい)イレウスになり、あと30分でオペをしないと死んでしまうという状況になっていました。

湊が必死で訴えても周りの大人は信じようとしません。

湊は母親たちの制止を振り切って、将輝くんをオペ室へ連れていきます。

湊がとった行動は知らない人から見れば、暴走と言われてしまうかもしれません。

しかし湊こそが、将輝くんを救おうとしている正常な人だったのです。

湊の強さ

オペ室に連れていった湊は正しいことをしているにも関わらず、上司・高山誠司(藤木直人)に罵声を浴びせられ、自分は手術室にも入れてもらえず、見守ることしかできませんでした。

手術が成功したのち、高山にはキレられ怪我をさせられます。

運が悪かったら死んでいたと湊を怒鳴りつけるのです。

それでも湊は高山をすごい医師だと言います。

のちに将輝くんの母親に謝罪された時、「自分は人と違うから誤解されることに慣れている」と言いました。

自分が1番将暉くんのことを考えているのに、部屋に入るなと言われ、将輝くんに触れることさえできませんでした。

将輝くんは横紋筋肉腫(おうもんきんにくしゅ)という病気が再発し、もう一度苦しい治療をしないといけないということを告げられ落ち込んでいたのにも関わらず、母親の誕生日を祝い始めます。

自分が苦しい状況なのに、他人への感謝を伝えるのです。

「将暉くんは強い子だから、本当のことを言っても大丈夫だ」と言って湊は母親を励ました。

湊は将暉くんを自分と重ねていたのかもしれません。

湊はどんなに辛いことがあっても、人のことを想い、優しい気持ちを向けるのです。

人を憎むことなく、人を救おうとすることができます。

湊はいじめられ、辛い状況に立たされても、子どもたちを救うことだけを考えます。

上司の高山は「お願いだから、問題を起こさず普通に過ごすことだけを考えろ。お前は絶対に小児科医にはなれない」と言います。

自分が一番なりたいものになれないと言われ、普通なら悔しくて泣いてしまうかもしれません。

しかし湊はその高山をも、とてもいい医師だと言って、褒めるのです。

誰よりも子どものことを考え、自分のことを犠牲にして、目の前の命を救おうとする湊。

世界には悪い人もいますが、その中にも必ずいい人がいるのです。

湊の真の強さと優しさに気づいた人たちは、少しずつ湊の魅力に気づき始めます。

はじめは煙たがっていた人たちも、湊を認め始めるのです。

山崎賢人さんの演技力

山崎賢人さんは今最も注目されている俳優の一人です。

その演技力には驚きました。

湊の役は今までの役とは全然違う人物です。

山崎賢人さんが今まで演じてきた役は少しずつ違っていたことに気づきました。

映画「オレンジ」では周りには元気に見せているが、内では母親を死なせてしまった罪の意識を抱えこみ、死んでしまおうとする青年を演じていました。

ドラマ「陸王」では生意気だが正義感の強い、青年・大輔役を見事に演じました。

その後「トドメの接吻」では、自分のことしか考えないホスト役を器用に演じました。

これら三つだけをとっても、顔形、話し方、表情が微妙に違うのです。

そしてFUJITSUのエアコン「ノクリア」のCMで見せる山崎さんの顔つきは、湊とは全く別人のもです。

このイケメンはただのイケメンではなく、カメレオンのような一流俳優だったのかもしれません。

PR

医療用語解説

絞扼性(こうやくせい)

将暉くんが発症した絞扼性(こうやくせい)イレウス(腸閉塞)は異物や炎症、腫瘍などにより腸管が塞(ふさ)がれた状態で生じる症状です。

将暉くんの場合は腫瘍があったせいで、腸が塞がれてしまい、消化物が塞がれた先に進まなくなりました。

消化物が封鎖されてしまうと腹痛や嘔吐などさまざまな症状が起こります。

絞扼性(こうやくせい)イレウスでは腸の壁の血管が圧迫されて血行障害が起きます。

それにともない出血などが起き、死につながるリスクもあるため早期の治療が必要になったのです。

湊はレントゲン検査もせず、将暉くんの状態から、原因を突き止めました。

横紋筋肉腫(おうもんきんにくしゅ)

横紋筋肉腫(おうもんきんにくしゅ)は筋肉のガンで、小児で最も多く見られる病気だそうです。

横紋筋肉腫は、全身のあらゆる部位から発生するようです。

腫瘍が発生する部位により症状は異なりますが一般的に、局所の腫れや痛みのほか、腫瘍の圧迫によって、眼球の突出、鼻血、頭痛、血尿、排尿の障害、便秘、腹痛など、さまざまな症状があらわれようです。

治療には放射線治療、薬物治療など辛いものが多いようです。

湊は「治療には精神的な苦痛が大きく、大人でも治療に耐えられない人が多数報告されてる」と言っていました。

6才の将暉くんはそれに耐えてきたのです。

もう一度同じ治療をするとわかった時にも怖がって、わめいたりせず、母親の誕生日を祝おうとしました。

将暉くんは本当に勇敢な少年なのかもしれません。

将来はウルトラマンより強い、立派な大人になるのではないでしょうか。