【『コード・ブルー 特別編 -もう一つの戦場-』考察】灰谷先生はなぜPTSDになったのか?

ドラマ

医者は人の人生を左右する出来事に遭遇する職業です。

自分のミスで人は死んでしまうかもしれません。

自分の判断で患者さんの大切なものを奪う可能性もあります。

だから感情を捨てて、仕事を作業のように思わなければやっていけない人もいるのです。

藍沢先生は1st seasonではそういう人でした。

冴島さんもそうだったように思います。

名取先生もそうでした。

灰谷先生はどうしても、患者の人生を他人のものだと割り切ることができない医師です。

自分のせいで人が死んだ

灰谷先生は患者を早く救いたいと思い焦ったせいで、ドクターヘリで禁じられていることを行ってしまいます。

それが原因でヘリが墜落し、現場から帰還することができなくなってしまいます。

ヘリが正常に着陸していれば救うことができた人を死なせてしまいます。

灰谷先生は自分の行動で、人の命を奪ってしまったのです。

灰谷先生のせいで、新婦さんは人生を狂わされました。

その経験がきっかけで、PTSDを発症します。

PTSDは戦地での悲惨な状況を忘れることができず、帰ってきた後も精神的に苦しめられる病気です。

灰谷先生の場合は、夜な夜な人の命を奪ってしまった時のことを考え眠れない日々を過ごしていました。

睡眠不足から判断力が鈍り、ミスを連発してしまいます。

苦痛から自ら命を絶とうとすることもありました。

一命を取り留めたものの、自分を信じることができず、自分の作業を何度も確かめるようになります。

灰谷先生は自分のせいで人が死んでしまうのが怖くなったのです。

自分のせいで人の人生を狂わせてしまうことに、どうしても耐えられなかったのです。

名取先生の心

名取先生は患者の人生に惑わされたくないため、灰谷先生や横峯先生を冷ややかな目で見ていました。

患者の人生のことを考えて、自分がおかしくなるような医者は間抜けだと思っていたのです。

しかし、尊敬する緋山先生の指に、エボラ出血熱でなくなった患者の血液と接触した針を刺してしまった時に、隠していた怖さを表に出すことになります。

抑えていた感情、尊敬する人の人生を狂わせるかもしれないという恐怖を隠すことはできませんでした。

緋山先生は検査の結果、致死率80%のエボラ出血熱に感染していなかったことがわかります。

緋山先生は自分のせいで人生を狂わされるかもしれない状況であったのに、責めず自分を励ましてくれたくれました。

患者の人生に深く関わっている緋山先生が自分の心を軽くしてくれたのです。

名取先生は自分にも患者の人生を見つめることができるのではないかと、一歩踏む出す勇気をもらったのかもしれません。

白石先生の過去

白石先生は自分のせいで、とても尊敬していた黒田先生(柳葉敏郎)の腕を損傷させてしまいました。

黒田先生の腕を切断したのは藍沢先生でした。

誰よりも尊敬していた、医師の腕を奪ったのです。

その責任から辞職願を出したこともありました。

白石先生も人の人生を傷つけてしまったことがあるのです。

灰谷先生は自分のせいで人生を狂わされた、新婦さんの傷が少しずつ癒えていくのを目の当たりにしました。

時は大切な人を奪った悲しみを少しずつ癒していったのです。

それを見て自分も彼女の呪縛から解放されたように思ったのかもしれません。

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医師は人の人生に深く関わることになる職業です。

明日対峙する患者の人生を奪うことになるかもしれません。

それなら、感情を押し殺し、仕事を単なる作業のように思わなければやってられません。

白石先生はどうしても、そうすることができませんでした。

灰谷先生も同じです。

緋山先生も、藤谷先生も同じです。

藍沢先生だって名取先生だって、本当はそう思っているはずです。

フェロー達は何度も人の人生に関わっていく中で、強くなっていきました。

作業のように処置をするのではなく、きちんと心を持って作業できるようになりました。

人の未来を暗闇に導いてしまったとしても、前に進む強さを身につけたのです。

医師は人の命を救うために働いています。

人を救うために働いているのです。

そのこと変わりません。

医師は不運な運命を導いてしまったことを背負い、生きていくのです。