「パーフェクトワールド」あらすじ、感想〜健常者も障害者も同じ、何も変わらない〜

ドラマ

火曜日9時からフジテレビ系列で放送されている、ドラマ「パーフェクトワールド」はとても感動するドラマです。

障害のある人の苦悩、感じていること・思っていることを知るとともに、その人に寄り添うことの難しさを教えてくれます。

ドラマ「パーフェクトワールド」はどのようなドラマなのでしょうか。

PR

ドラマが大好きで脚本家を目指したこともあるドラママニア歴20年の私が、「パーフェクトワールド」のあらすじと感想を書いていきます。

ドラマ「パーフェクトワールド」あらすじ

1話あらすじ


ひょんなことから、高校時代に恋心を描いていた、鮎川樹(松坂桃李)に再開することになった、川奈つぐみ(山本美月)。

久しぶりに再会した鮎川君は事故がきっかけで、お腹から下が麻痺し車椅子で生活していました。

鮎川君は、高校生時代バスケットボール部のキャプテンとして活躍していたのですが、川奈はその変わり果てた姿に困惑してしまいます。

川奈は、鮎川君がどのような悩みを抱えているのか気づくことができず、失礼なこと言って傷つけてしまいます。

鮎川君には事故にあうまで、付き合っていた彼女がいましたが、今は別れ元恋人は近々結婚する予定でした。

鮎川君は事故の後、恋愛をしないと決めており、誰かを好きになることを避けていました。

鮎川君の気持ちを知らない、川奈は鮎川君にどんどん惹かれていきます。

高校生時代の夢である建築士になることができた、鮎川君を川奈は尊敬していたのです。

川奈自身は画家になる夢を諦めて、イラストデザイン会社に就職していました。

事故に合い下半身麻痺の状態になっても夢を諦めずに達成し、健常者と同じように扱ってもらえるよう日々奮闘している鮎川君に、川奈は勇気をもらっていたのです。

川奈は鮎川君の頼みで、コンペの設計図への色付けを手伝ったことがきっかけで、インテリアデザイナーになることを夢見始めます。

それをきっかけに二人の距離は縮まったのですが、二人の前に元担当看護師でヘルパーの長沢葵(中村ゆり)が現れます。

2話あらすじ

長沢は、鮎川君が事故にあってすぐにヘルパーをしてくれた人で、鮎川君がとても頼りにしている女性でした。

川奈は長沢が鮎川君に気があることに気づき、距離を置こうとしますが、鮎川君は川奈に好意を抱いているので、家に呼びます。

家の前に捨てられていた芝犬・チャコを拾った鮎川君は、川奈にチャコを見せたかったのです。

鮎川君の樹の同僚の晴人(松村北斗)に頼まれた川奈は、彼を車椅子バスケの練習に連れていきます。

始めは乗り気じゃなかった鮎川君でしたが、晴人に押され練習に参加します。

川奈は鮎川君が元気そうに駆け回る姿を見て、本当に嬉しそうにしていました。

車椅子バスケのチームに正式に参加することになった鮎川君と付き添いの川奈は、チームのメンバーと談笑していた時に、乱闘に巻き込まれました。

川奈が乱闘に巻き込まれた時、鮎川君は本当に心配になったようです。

そこで鮎川君は川奈に対する自分の気持ちに気づきます。

本気になりそうになっている自分が、川奈の人生を苦しめることになると思った鮎川君は、川奈を遠ざけます。

川奈はたまたま会った鮎川君の母親・文乃(麻生祐未)から、鮎川君が事故の後、自分にとても厳しくなったと聞かされます。

医学の進歩により、健常者と変わらない寿命を期待できるようになった障害者ですが、腎不全などの合併症になるリスクがあるのは変わりません。

健常者と同じように暮らすことはできないのです。

そんな自分と一緒にいたら、誰かが犠牲になると鮎川君は考えるようになったのです。

それを一番よく知っている母親はそれでも息子の幸せを願ってしまうのだと、涙ながらに川奈に話します。

川奈は鮎川君に告白する前に断られたことを母親に打ち明けていたのですが、母親の気持ちを聞き、鮎川君に気持ちを伝えることにします。

鮎川君は川奈が本当に心の綺麗な人だと気づき、迷いながらもキスをするのです。

障害者だろうが健常者だろうが何も変わらない

ドラマ「パーフェクトワールド」は、普段あまり関わることのない障害のある方が主人公のドラマです。

私は障害があるわけではないので、鮎川君の気持ちは一切分かりません。

でも人には言えないことを抱えて生きています。

そのせいで普通の人とは違うのだと思うこともたくさんあります。

しかし私の場合はそれを隠すことができる分、鮎川君とは全然重みが違うのではないかと思っていました。

でも「パーフェクトワールド」を見て、障害者も健常者も同じなのではないかと思いました。

性格の悪い人は健常者にも障害者にもいると思います。

性格の良い人は健常者にも障害者にも優しいでしょうし、性格の悪い人は健常者にも障害者にも失礼なことをします。

私たちは勝手に線引きをして、障害のある人を避けたり、見ないふりをしますが、それはとても失礼なことで、そうしてること自体間違えているのではないかと思いました。

形は違えど同じように生きている人同士、悩みも楽しみも同じように存在するのです。

このドラマを見て、両者には何にも違いがないことに気づかされました。

だからこそ、このドラマはとても重要です。

障害者の方も健常者の方も、両方がなんの隔たりもなく暮らせる世の中を、築かなければならないのです。

スタッフを抜粋

脚本家・中谷まゆみ

「パーフェクトワールド」の脚本家・中谷まゆみさんは、妊活をテーマにして話題になった「隣の家族は青く見える」の脚本を担当していました。

「隣の家族は青く見える」はとてもよくできたドラマで、私もハマりましたが、今回の「パーフェクトワールド」は現実味のない展開が少なくないので、評価は高くありません。

PR

ですが、このドラマは障害のある方のことを健常者が考えるきっかけを作るドラマなので、多くの人が見るべきではないかと思っています。

原作者・有賀リエ

原作漫画「パーフェクトワールド」の原作者・有賀リエさんは、フランスの雑誌『Animeland』においてベスト少女漫画賞を受賞しました。

現在『パーフェクトワールド』は、台湾、韓国、インドネシア、タイ、フランス、北米(電子のみ)、ドイツ、スペイン、ポーランド、ベトナム計10カ国で出版されています。

日本以外でも高く評価されている『パーフェクトワールド』が今後どのような展開になるのか非常に楽しみです。

「パーフェクトワールド」映画版

「パーフェクトワールド」は、2017年に岩田剛典さん、杉咲花さん主演で映画化されました。

「パーフェクトワールド」タイトルの意味

鮎川君と川奈の話のタイトルは、どうして「パーフェクトワールド」なのでしょうか。

原作のあらすじを読むと、「障害者に対する健常者の考え方」がいくつもあることが感じられます。

”ある人は障害者を避け”、”ある人は何も関係ないと寄り添います”。

自分の娘の幸せを想うからこそ、いけないことだとわかっていても障害者を避けるよう促す父親の姿があります。

この世界には健常者とそうでない人がいます。

健常者の人たちにとっては、科学の発展によって様々なものが進歩しているように見えます。

しかし障害者にとってはまだまだ住みにくい世の中なのかもしれません。

この世界は全然”完璧”ではありません。

タイトルの「パーフェクトワールド」とは、健常者にも障害のある人にも住みやすい世界という意味だと思います。

この世界は一見優れているように見えますが、それはとても偏った世界でしかないのです。

健常者は障害のある人のことを考える機会が全くありません。

しかしそれは間違えているということを伝えたかったのではないでしょうか。

私たちはいつ、障害を持つようになるかわかりません。

事故に合わずとも、病気で声を失ってしまう人もいます。

大人になってから、自分の性に違和感を持ち始める人もいます。

人は自分の幸せしか守ろうとしません。

自分が身をもって経験しないと、その立場の人の気持ちを考えようとしません。

それはおかしいことなのかもしれません。

違う立場の人の気持ちを思いやることが、本当に私たちにとって素晴らしい世界を築くきっかけになるのかもしれません。

たとえ周りに障害のある人がいなくても、障害のある人の暮らしをよりよくしようと思える人が増えていくことを願っています。

このドラマを見て少しでもそう思ってくれる人がいたら嬉しいです。